
放課後、公園でお友達と遊ぶ時間。娘にとって大切な時間。
その日の娘の顔は、迎えに言った瞬間いつもと違って見えました。
娘の心が限界ギリギリのところまできたのだと感じました。
いつも人の気持ちを大切にして、誰かを悪く言うことのなかった娘。
しかし、ある日から「嫌い」という言葉を口にするようになりました。
その言葉を口にするたび、娘自身も傷ついてきたのです。
理不尽な関わりの中で感じた「違和感」
相手の子は、エネルギーにあふれるタイプ。
冗談交じりに叩いたり、自分の思い通りにならないと怒ったり。
「自分だけと遊んで」と制限をして周囲を困らせてみたり…
強引に人の大切なものやお菓子をもらっては、「また今度ね」と言う。
くまの森の動物に例えると、
チーターの子。
強くて、速くて、
自信に満ちて見える子。
周りが見えていないわけではない…
でも、自分の思いを優先してしまう。
娘は、その子を怖いと思いながらも、「だめだよ」「違うよ」と何度も伝えてきました。
娘の正義感や真っ直ぐ向き合う態度、周囲に好かれている様子は、その子にとって気に食わないものでした。
その子は、娘のことを「嫌いだ」と周囲に話しており、娘の耳にもはいるようになりました。
でも、その子は娘を避けるどころか、あえて同じ場所に入ってくる。
何かあるたび、少しトゲのある言葉を投げかけてくる。

娘は、どうしたらいいか分からず、「悪いのは自分なのかな」と混乱していました。
その気持ちをうまく言葉にできず、相手に言われた「嫌い」という言葉を選んだのです。
「嫌い」はダメじゃない。言葉の奥にあるもの
「ママもね、同じ気持ちになったことがあるよ。
その子のことばかり頭や心にあって、モヤモヤでいっぱいになるんだよね。
だけど、それはおかしいことじゃないんだよ。」
そう話すと、娘の目からぽろぽろと涙がこぼれ、私の膝で泣き始めたのです。

「嫌いって言葉しか見つからなかっただけなんだよね。
それは、"もうここは苦しい"っていう気持ちのサインなんだよ。
その気持ちは、間違ってなんかないよ。」
HSCが学ぶ「距離のとり方」
「でもね、仲のいいお友達がその子と遊ぶのは、
あなたが決めていいことではないんだよ。
もし、"一緒に遊ばないで"って言ったら、誰かが悲しい気持ちになったり、
その子が仲間はずれになってしまうこともあるからね。」
娘は小さくうなずきながら、静かに聞いていました。
HSPママが感じた「心の成長」
HSPの私も、同じように感じとることがある。
誰かの顔色をうかがっては、誰かに合わせて笑ってばかりで、
"自分"がどこにいるのか分からなくなったこともある。
大人になってようやく気づいたのは、やさしさと自己犠牲は、違うということ。
でも、娘は「自分の苦しい」が重なる場所が、自分のいる場所ではないことを、もう知っている。
どう行動すればいいか、どう考えたらいいか、それがまだ分からないだけ。
今回、涙を流しながらも、"自分の世界を守る選択"をした。

それは、まだ小さいけれど立派な自分軸の芽。
彼女はもう自分で見つけ始めている。
大人のHSPでも難しいことを、彼女は小さな身体で背負っているということ。
「自分軸」は感じとる力の中で育っていく
「悲しいときは泣いていいんだよ。嫌なことは嫌って言っていいんだよ。」
「あなたには、ちゃんと自分の軸があるよ。
たとえ今は、どんなものか分からなくても大丈夫。」
大人のように「自分軸」という言葉を理解できなくてもいい。
"自分の気持ちを感じ取って、それを大事にしていい"という経験。
それを積み重ねていくことで、自然と「自分軸」は育っていくのだと思います。
HSPママとして見守る、繊細な子の世界
娘が「嫌い」と言えたのは、人を排除するためではない。
自分の心を守るためだった。
「嫌い」と言えることは、心の成長の証。
自分を大切にする勇気を持てたこと。
HSPの気質をもつ私たち親子にとって、大きな一歩だった。
「無理して相手の世界にいなくてもいい。
自分の心を大切にできる世界が、自分の居場所だから大丈夫。」

子どもが自分の気持ちを大切に出来るようになること。
それが、繊細ママである私の願いです。
そして、私自身も一緒に"自分を大切にする力"を育てていけたらと思います。